安倍元首相「防衛に努めぬ国と共に戦う国はない」

 安倍元首相「防衛に努めぬ国と共に戦う国はない」

3/25(金) 

産経新聞


自民党の安倍晋三元首相は25日、産経新聞の単独インタビューに応じ、ウクライナへの侵攻を続けるロシアが日本との平和条約締結交渉の中断を表明したことについて「ロシアのウクライナ侵攻でそもそも交渉できる環境ではなくなった。責任は日本ではなくロシアにある」と指摘した。その上で「日本の隣国であるロシアは強大な軍事大国だ。北方領土問題を解決し、北方四島の元島民の悲願でもある平和条約を締結する政府方針は今後も変わらないだろう」と述べた。


安倍氏はウクライナへの侵攻に踏み切ったプーチン露大統領に関し「力の信奉者だが、彼は理念型ではなく現実主義者であるとも考えていたので、(ウクライナに対し)全面的に戦端を開いたのは驚きだった」と語った。岸田文雄首相が先進7カ国(G7)と足並みをそろえる形で対露制裁を強化したのは「ウクライナと同様のことがアジアで起こらないようにするため」の対応だとして「首相はリーダーシップを発揮している」と評価した。


ロシアによるウクライナ侵攻について、安倍氏は改めて「日本にとって決してひとごとではない」と述べ、今回の事態から日本が学ぶべき「教訓」として集団的自衛権の重要性を指摘した。「ウクライナが北大西洋条約機構(NATO)の加盟国だったらロシアに侵略されることはなかった。同盟国以外はともに戦う国は存在しない」と強調した。


ロシアの侵攻にウクライナが徹底抗戦している現状や、ドイツが露軍のウクライナ侵攻後に国防費を大幅に増額したことを踏まえ「自分の国は自国の努力で守ることが基本だ」と述べた上で、敵の基地を攻撃する「打撃力」を自前で持つ必要があると訴えた。先の衆院選で自民党が公約に掲げた防衛費の「国内総生産(GDP)比2%以上」の増額幅は「当然だ」と語り、「国の防衛に努力しない国のために一緒に戦う国はない」とも述べた。


北朝鮮が24日に大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射したことを受け、日本に対して北朝鮮に核を使用させないための「核の抑止力」についても議論すべきだと提起した。


一方、衆参両院の憲法審査会で憲法改正議論が進んでいる状況を「非常に喜ばしい」と歓迎。ウクライナ情勢を踏まえ、自民の改憲4項目の一つである憲法9条への自衛隊明記を「しっかり議論するいい機会だ」と期待を示した。

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