ウクライナ軍、複数の街を奪還か ロシアは雇い兵投入の可能性
29日
BBC
ロシアが侵攻したウクライナで、ロシア軍が制圧していた複数の街をウクライナ軍が奪還したとの見方を、現地やアメリカの当局者が28日示した。一方、英当局は、ロシアがウクライナ東部に雇い兵を派遣したとみられるとした。
ウクライナが複数の街を奪還か
アメリカ国防当局幹部によると、ウクライナ軍は東部スーミ近郊の町トロスチャネツをロシア軍から奪還。南部ヘルソンでも、ロシア軍を追い出す動きを見せている。
この幹部はまた、首都キーウ(キエフ)付近ではロシア軍が「何の前進も」していないと記者団に説明。ロシア軍は現在、キーウ中心部から北および北東に15~20キロ、東に55キロの地点にいるとした。
ロシア軍が包囲を続けるウクライナ南東部の港湾都市マリウポリについては、ロシア軍の長距離砲撃によって「たたきのめされている」と述べた。
一方、ロシア軍が現在、東部ドンバス地方での作戦を重視していることについては、理由は不明だと説明。停戦協議で優位に立つ狙いか、ロシアが目標を「再検討」している可能性があるとした。
一方、キーウの北西20キロに位置するイルピンのオレクサンドル・マルクシン市長は、ウクライナ軍が28日に同市を完全に奪還したと述べた。
マルクシン氏はソーシャルメディアに投稿した動画で、「今日はいい知らせがある。イルピンが解放された」と説明。
「私たちの街にはさらなる攻撃があるだろう。しかし私たちは勇敢に街を守り抜く」と付け加えた。
イルピンでは首都の命運をかけた激しい戦いが続いていた。BBCは市長の説明が正しいか確認できていない。前出の米国防当局幹部も、イルピン奪還は未確認だとした。
マリウポリの死者多数
南東部マリウポリのヴァディム・ボイチェンコ市長によると、ロシアの侵攻が始まって以降、市民の死者は約5000人に上っている。うち210人は子どもだという。
インタファクス・ウクライナ通信がボイチェンコ氏の話として伝えたところでは、27日時点で市内に17万人がとどまっているとされる。
また、複数階の住居は9割が損壊し、4割以上は破壊されているという。病院7カ所が被害を受けており、うち3カ所は完全に破壊されているとされる。学校も57校が損壊し、うち23校は壊滅状態だという。
ロシアが雇い兵を投入か
イギリス国防省は、ロシアが悪評の多い同国の軍事会社ワグナー・グループの雇い兵を、ウクライナ東部に投入したとの見方を示した。
同省は最新の情勢報告で、同グループから幹部指導者を含む1000人以上が派遣され、ウクライナでの「戦闘作戦を引き受ける」見込みだと分析。
「ロシアは大きな損失を被り、侵攻の大部分が停滞していることから、アフリカやシリアでの作戦を犠牲にして、ワグナーの人員をウクライナに優先的に送り込む方向での見直しをせざるを得なかった可能性が高い」とした。
ワグナー・グループはロシアの秘密組織とされる。公式には存在していないが、過去7年間に最大1万人の戦闘員が、シリア、リビア、中央アフリカなどの戦闘地に行く契約を少なくとも1件、同グループと交わしたとみられている。
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