「心を強く持った」27時間泳ぎ生還のトンガ男性、ラジオで喜び語る
毎日新聞 2022/1/20 22:13
ロイター通信によると、南太平洋・トンガ沖で15日に起きた海底火山の大規模噴火に伴う津波にさらわれた57歳のトンガ人男性が、27時間近くにわたって海を泳ぎ続け、生還を果たした。地元ラジオ局が20日、男性のインタビューを報じた。足が不自由で「赤ちゃんの方が速く歩ける」という男性。「家族が心配していると思い、心を強く持った。みんな私のために祈ってくれて感謝している」と語り、生還を喜んだ。
ロイターなどによると、生還したのは首都ヌクアロファから北西8キロのアタタ島に住む元大工のリサラ・フォラウさん。自宅で塗装作業をしていたところ、兄から津波が来ていると知らされた。
このラジオ局の関係者がフェイスブックに投稿したフォラウさんの証言によると、津波は「6メートル以上あった」が、親族の助けを借りて木の上に逃げた。
しかし、さらに大きな津波が押し寄せ、海にさらわれた。それが15日午後7時ごろのことだった。
暗い海を漂う中、陸地の方から息子が自分を呼ぶ声が聞こえた。だが、あえて返事はしなかった。「返事をしたら助けるために海に飛び込んで来てしまう」と思ったからだ。
そのまま荒波に流されるうち、夜が明けた。午前7時ごろ、アタタ島に向かう警察の巡視船が見えた。手を振って助けを求めたが、船は気付くことなく行ってしまった。
近くの小島を目指すことに決め、泳ぎ始めた。たどり着いたころにはすでに夕方になっていた。大声で助けを呼んだが、周囲には誰もいない。
そこで首都があるトンガタプ島を目指し、再び泳ぎ始めたという。
小島からおよそ3時間泳ぎ、陸地に着いた。
はいつくばって道路まで出て、木材の切れ端をつえ代わりにして歩き始めた。
しばらくしてようやく車が通りかかり、助けを求めた。「アタタ島から流されてきた」。
そう告げると、驚いた運転者がフォラウさんを家に連れ帰り、保護してくれたという。
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