韓国の半導体“衰退危機” 素材・部品など日本頼みが致命的 経済成長率も日本下回る予測 生き残るには米中間「二股外交」か

 韓国の半導体“衰退危機” 素材・部品など日本頼みが致命的 経済成長率も日本下回る予測 生き残るには米中間「二股外交」か

1/25(火) 17:00配信


夕刊フジ

韓国経済の稼ぎ頭である半導体産業の先行きに、国内外から疑念が強まっている。

ライバルの台湾勢が着々と世界戦略を進め、成長著しい中国勢も背後に迫る。

韓国勢も投資を強化するが、肝心の基礎技術で日本頼みから抜け出せないという致命的な弱点を抱え、将来の衰退を予想する声も出ている。


日銀が発表した「経済・物価情勢の展望」では、2022年度の実質国内総生産(GDP)を見通しを前年度比3・8%増とした。

韓国銀行(中央銀行)の22年の成長率は3・0%で、朝鮮日報(日本語電子版)は「通貨危機以来24年ぶり」「実際に逆転すれば、大きな波紋を広げる」と報じた。


各国が成長力強化のため重視している半導体産業をめぐっては、ファウンドリー(受託製造)世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)が米国に最先端の工場建設を進めているほか、日本にも進出し、ソニーグループと共同で工場を置く。


韓国勢もサムスン電子が米国に巨額投資を決めるなどしのぎを削るなか、米国半導体工業会(SIA)が衝撃的なリポートを発表した。

中国の半導体デバイスの世界シェアが20年の約9%から24年に17%に達し、今後のシェアが横ばいとみられる韓国に肉薄すると予想したのだ。


半導体産業は韓国経済の屋台骨だ。

同国の産業通商資源省によれば、21年の輸出額6445億4000万ドル(約73兆8500億円)のうち、半導体関連が1280億ドル(約14兆6700億円)を占める。

事業の衰退は韓国経済全体の大打撃に直結しかねない。


懸念材料は中国の猛追だけではない。


中央日報(日本語電子版)は、素材・部品・装備の分野で日本への依存が高いとし、半導体素材について日本から最多の38・5%を輸入していると伝えた。

また、有識者からも、技術障壁の高さや人材不足、インフラの脆弱(ぜいじゃく)性など韓国の半導体産業が抱える問題点が指摘され、「遅くとも30年以内には日本のように完全に衰退するような状況になる」と危機感をあらわにする。


19年に日本政府が半導体素材などの輸出管理を強化して以降、韓国は国産化を急ぎ、文在寅(ムン・ジェイン)政権は毎年1兆ウォン(約964億円)超の投資を掲げてきた。

20年1月には、半導体の洗浄に使われる高純度のフッ化水素について、自国の化学メーカーが高純度で大量生産が可能な製造技術を確立したと発表したが、結局、日本依存からは抜け出せていないようだ。


経済産業省の官僚当時、半導体の技術戦略を担当していた政策コンサルタントの宇佐美典也氏は、「半導体素材は、解析を行ってもどのように製造されているかが分かりにくい分野のため、巨額な投資を行っても簡単にまねできない。

韓国では基礎科学研究が充実していないため、国産化は非常にハードルが高い」と指摘する。


その上で、韓国の半導体産業を左右するのは米中対立だと宇佐見氏はみる。

「半導体需要が高い中国では、韓国内に生産工場を作っているため、韓国が簡単に世界シェアを落とす状況にはないだろう。

ただその現状を米国が問題視した場合、衰退が現実のものになる」


生き残るためには、今後も米中間の「二股外交」を展開するしかないようだ。

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