韓国軍の士気、北への融和策で低下か…軍事境界線を元体操選手が2度目の越境成功
1/25(火) 20:10配信
読売新聞
【ソウル=上杉洋司】韓国と北朝鮮を隔てる軍事境界線で、韓国軍の警備が破られる事例が相次いでいる。
北朝鮮に融和的な文在寅(ムンジェイン)政権の姿勢が、前線部隊の規律や士気の低下につながっているとの見方がある。
今月1日の夜、韓国北東部・江原道で男性1人が韓国から軍事境界線を越え、北朝鮮に入った。
韓国メディアの報道によると、男性は2年前にほぼ同じルートを南下し、北朝鮮から韓国に逃れた元器械体操選手だった。
身長約1メートル50、体重約50キロ・グラムと小柄で、二つの鉄条網フェンス(高さ約3メートル)を1分半でよじ登って乗り越え、北上したらしい。
韓国軍の発表によると、男性の姿は三つの監視カメラが計5回、捉えていたが、モニターを見ていた監視兵はこれを見逃した。
フェンスに設置された警報が鳴ったのに、現場をパトロールした部隊は雪上に残った足跡に気づかなかった。
マニュアルで定められた上官への報告も行われなかった。
警報の約3時間後には熱探知システムが男性に反応したが、現場責任者は当初、北朝鮮から誰かが亡命してきたと判断した。
人的ミスが重なった末の、韓国軍の失態だった。
この元器械体操選手はいったん韓国に逃れたものの、「北朝鮮の方が人間らしい生活ができる」などと周囲に訴え、北朝鮮に戻りたがっていた人物とわかった。
南北の軍事境界線は、韓国軍60万人と北朝鮮軍130万人の主力が配置され、万一の侵攻やスパイの潜入に備え、厳戒態勢が求められる。
だが、文政権下では昨年2月にも、北朝鮮から男性が泳いで韓国側に来た際に韓国軍が見逃す事案が発生した。
ミスが続く背景には韓国軍の気の緩みのほか、前線の人員や装備が不足しているとの指摘もある。
韓国と北朝鮮は、文大統領と金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党総書記による2018年9月の南北首脳会談での合意に基づき、軍事境界線付近にある監視所の撤去を進めた。
文政権が陸軍の徴兵期間を21か月から18か月に短縮し、軍の規模を約10万人削減する計画が、現場の人員不足につながっていると訴える専門家もいる。
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