岸田首相VS高市氏、安倍元首相連合 財政めぐり、対立激化「参院選の火種に…」
1/10(月) 9:50配信
YAHOO!
自民党内で財政政策を巡る主導権争いが起こり、波紋を広げている。アベノミクスを継承し、積極財政の旗を振る高市早苗政調会長に対し、岸田文雄首相が財政再建を重視する姿勢を見せ、党内で対立が激化している。
「選挙に勝てば、今度は足元が騒がしくなる。
そういう歴史だよ。
騒がしくなりすぎると、政権基盤が揺らぐ」(自民党の閣僚経験者)
昨年10月の衆院選で甘利明前幹事長が小選挙区で敗北したことにより、茂木敏充幹事長、林芳正外相という新しい布陣を敷いた岸田首相。
自民党幹部は人事についてこう解説する。
「次期首相を狙うと公言している高市氏の動きを、幹事長である茂木氏の力で抑えようというのが、岸田首相の狙いのひとつだ。茂木氏も首相を目指している。
岸田首相は、党の重要政策はすべて茂木氏に任せているので、政調会長の高市氏の影がうすくなっていた」
今年夏に予定される参院選の公約の策定作業はすでに進んでいる。
中でも経済政策は、公約の要になる。岸田首相は安倍政権時代の積極財政とは方向を変え、財政再建を打ち出している。
岸田首相は昨年12月6日の臨時国会での所信表明演説で
「危機に対する必要な財政支出は躊躇なく行い、万全を期します。
経済あっての財政であり、順番を間違えてはなりません。
経済をしっかり立て直します。そして、財政健全化に向けて取り組みます」と訴えていた。
その翌7日には自民党内に「財政健全化推進本部」を首相(総裁)直轄として立ち上げた。
本部長には、茂木派の元会長でもあった額賀福志郎元財務相、さらに前財務相の麻生太郎副総裁が最高顧問についた。
初会合には岸田首相も駆け付け、
「自民党にとって大切な使命」と挨拶したが、これには伏線があった。
この6日前、高市政調会長が党内にもともとあった組織「財政再建推進本部」から「再建」の文字を削り、「財政政策検討本部」と名称変更。本部長に西田昌司参院議員、最高顧問に安倍晋三元首相を迎え、組織改編に踏み切った。
初会合では高市氏の横で安倍氏がマイクを握り、
「失業率2・8%、先進国の中でもっとも雇用を守っているといえるだろう。
積極的な財政出動を行ってきたその成果」と訴えた。
西田氏も自身のSNSでこう発信している。
「財政再建推進本部が廃止になり、財政政策検討本部が政調会長直轄となった。
税金の範囲で予算を組む、財政健全派は時代遅れだ」
ところが、この直後に岸田首相が「財政健全化推進本部」を発足させたことで、
党内に財政政策を論議する組織が2つも立ち上がり、岸田首相と高市政調会長がにらみ合う構図となった。
「この騒動は国家の根幹にかかわる本質的な政策の路線対立です。
岸田首相vs高市政調会長、安倍元首相の主導権争いで、極めて政局的でもあります。
2つの財政本部の最高顧問の一方は麻生さん、もう一方が安倍さんというキングメーカーがバックについている。もともとはMMT(現代貨幣理論)論者の西田さんが高市さんに働きかけ、岸田首相やその周辺の財政再建論に機先を制する形で『検討本部』を立ち上げました。
その動きを警戒した茂木幹事長が岸田首相に進言し、首相直轄の『健全化本部』で対抗した。
つばぜり合いが激化し、岸田派、麻生派、茂木派と安倍派とのパワーバランスが崩れた場合、大きな火種になる可能性があります」(官邸関係者)
自民党幹部もこう分析する。
「岸田首相は高市氏が突っ走るのを抑えたい。
しかし、党の政策決定は政調会長の了承がないと進まないのも事実。
岸田首相も政調会長を3年ほどやっていますからその重要性は認識している。
そこで幹事長である茂木氏が高市氏を抑えやすくするために首相直轄にしたのでしょう。
こうした絵は財務省が裏で描いているようだ」
岸田首相の本当の狙いは参院選にあるという。
「岸田首相とも年末年始に何度か話す機会があったが、頭の中は、参院選でいっぱいですよ。
特に東京都の小池百合子知事の動きを気にしている。
昨年の衆院選では小池氏の動き次第で過半数が厳しかったことも自覚していました。
参院選で小池氏が候補を立ててくるのが一番怖いところです」(前述の幹部)
衆院選で議席を伸ばした日本維新の会の脅威もあるという。
「オミクロン株の影響で、コロナの新規感染者が急増し、対応がうまくいかなければ、支持率は下がり、参院選は危くなる。参院選の政策の不協和音が火種にならないよう高市―安倍連合を封じ込めたいのです」
自民党で政務調査会の調査役を長く務めた、政治評論家の田村重信さんはこう解説する。
「重要な経済政策を決める組織が自民党に2つもできるなんて正直、驚いた。それほど、岸田首相が高市氏の動きに敏感になっているということです。
高市氏の積極財政、政策は政調会長という主張もわかります。
しかし、政策の決定権は総務会にもあり、意見が割れれば最後は首相が決断する。
郵政民営化でも反対意見がかなりあったが、首相だった小泉純一郎氏が最後は決断した。
岸田首相は参院選を控え、公約作りもある中、収拾がつかなくなる前にサッと動いたのでしょう」
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