エネルギー危機加速で日本に〝大停電リスク〟 ウクライナ情勢緊迫、世界的な「脱炭素」の流れが供給不足に拍車 専門家「欧州へのLNG融通は愚策」
2022.2/11 10:00
夕刊フジ
エネルギー価格の高騰に歯止めがかからない。
需要拡大やウクライナ情勢の緊迫に加え、世界的な「脱炭素」の流れが供給不足に拍車をかけているとの見方もある。日本列島を寒波が襲う中、ガソリンや灯油価格の上昇は国民生活を圧迫するだけでなく、エネルギー危機の常態化による「ブラックアウト(大規模停電)」リスクが付きまとう。
バイデン米大統領は7日、ロシアがウクライナを侵攻した場合、ロシア産天然ガスをドイツに送る海底パイプライン「ノルドストリーム2」を稼働させないと明言した。
ロシアへの制裁を示唆した形だが、欧州発のエネルギー危機は一段と現実味を帯びてきた。
ニューヨーク原油先物相場で、米国産標準油種(WTI)は4日に7年4カ月ぶりに1バレル=92ドル台を超す高値を付けた。
7日は7営業日ぶりに反落したが、その後も高止まりしている。
原油高騰の影響について、エネルギー事情に詳しいジャーナリストの石井孝明氏は「ガソリン代は都市部、地方ともにレギュラー1リットル当たり170円台を超え、昨年から1・3倍の水準になっている。特に流通部門が圧迫され、地方経済も打撃をこうむっている。
景気がインフレ基調にある中、物価のさらなる高騰を招く恐れがある」と語る。
経済産業省はガソリンや灯油など燃料価格の急騰を抑えるため、元売りへの補助金を現在の1リットル当たり3円70銭から5円に引き上げるが、値上がりを抑えることは難しくなっている。
政府は10日、燃油価格の高騰への対応を協議する関係閣僚会合を開いた。
現行の対策の効果を検証した上で、追加対策の検討を本格化させる。
抜本的なガソリン価格対策は、ガソリン税の一部を軽減する「トリガー条項」だ。
萩生田光一経済産業相は1月30日、
「使うことは常に考えていかなければいけない」と検討を示唆したが、岸田文雄首相は翌31日の衆院予算委員会で「今現在の解除は政府として考えていない」と火消しに走っている。
前出の石井氏は
「経済の混乱を防ぐために補助金やトリガー条項の凍結解除は必要だと思うが、焼け石に水かもしれない。即座にできる対応としては稼働可能な原子力発電所の活用や、米国産のシェールガスなど多方面の資源調達が考えられる。中長期的には大量に作られた再生可能エネルギー分野を含めて、電力網の再構築や電力自由化の見直しが求められるだろう」と強調した。
北海道や本州の日本海側で記録的な積雪となり、関東も大雪が警戒されるなど列島は寒波に見舞われ、電力需要の増加も懸念されている。大手電力10社の3月の家庭向け電気料金は北陸電力を除く9社が値上げとなった。液化天然ガス(LNG)などの輸入価格が上昇しているためで、10社の料金は比較可能な過去5年間で最高となる。
ウクライナは日本にとって、より直接的な「エネルギー問題」となっている。ロシアによる欧州への報復措置に備え、米国が日本に欧州への天然ガス融通を要請、日本政府は受け入れを決めた。
国内の電源構成やエネルギー事情に詳しいユニバーサルエネルギー研究所の金田武司氏は、「原則として天然ガス価格は原油価格として連動している。世界的な脱炭素の風潮と、欧州で風力発電が伸び悩んだことが資源の高騰の大きな背景となり、欧州に関しては自業自得の側面もある。元々資源の無い日本が欧州にLNGを融通するのは愚策ではないか」と疑問を呈す。
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