双子の赤字まで起きるか…大統領選挙後の韓国経済、防波堤もない
中央日報
2022.02.17
韓国経済の牽引役である貿易に赤信号が灯った。16日の企画財政部と産業通商資源部などによると、韓国の貿易収支は昨年12月と今年1月の2カ月連続で赤字を記録した。2カ月連続の貿易赤字は金融危機当時の2008年から14年ぶりだ。
貿易赤字は今月も10日までで35億ドルと続いている。
韓国は輸出で生きる国だが、これは経済成長率と対外信頼度にマイナス要因となる。
経済衝撃を止める「防波堤」に当たる財政も今年まで4年連続赤字を記録すると予想される。
政府の総収入から総支出を差し引いた統合財政収支が4年連続で10兆ウォン以上の2桁の赤字を記録するのは今回が初めてだ。
韓国政府が新型コロナウイルス対応などのため支出を拡大した影響と分析される。
これに伴い対外支払い能力を示す経常収支と国の財務健全性を示す財政収支が同時に赤字に陥るいわゆる「双子の赤字」が今年現実化する恐れもあるとの懸念が出ている。
双子の赤字は内外の均衡が崩れた状況を意味するが、韓国では1997年の通貨危機当時に発生したことがある。
2009年には統合財政収支が赤字を記録したが、経常収支は黒字を記録し双子の赤字は免れた。
ハイ投資証券のパク・サンヒョン研究員は最近の報告書で、
「1月の貿易収支赤字幅を考慮すると1月の経常収支もやはり赤字転落の可能性が高く、双子の赤字が視野に入った。
原油・ガス・石炭などのエネルギー価格上昇による輸入額急増で輸出増加率20%、輸入増加率30%を仮定すると、5月まで貿易収支は赤字の流れが続くだろう」と明らかにした。
庶民の暮らしも大統領選挙後はさらに厳しくなりそうだ。
いまも各種生活必需品価格が相次ぎ上がっているが、大統領選挙後はこれまで物価管理を理由に押さえ込んできた各種公共料金引き上げなどが待機しているからだ。
電気料金は4月と10月の2度にわたり段階的に引き上げられ、ガス料金は5月・7月・10月の3度にわたり順次引き上げられる。
水道料金やバス運賃のような公共料金も引き上げ圧力が激しい。
食品もやはり値上げラッシュが当分続く見通しだ。
高麗(コリョ)大学経済学科のカン・ソンジン教授は「ドルが上昇しエネルギーや原材料のウォン換算価格が上がったのがまた別の物価上昇の要因」と指摘した。
このほかにもいわゆる資金を借り入れた投資の後遺症で家計負債に赤信号が灯った。
予定通りに3月に中小商工人を対象とした新型コロナ関連の貸付償還猶予が満了すれば都市銀行のリスク管理圧力も大きくなり、債務者の負担も増える見通しだ。
海外発の悪材料まで重なった。
米国の中央銀行に当たる米連邦準備制度理事会(FRB)は急騰傾向を見せる物価を抑えるため年内に5~6回にわたり金利を引き上げるとの見通しが支配的だ。
いわゆる米国発の早期緊縮だ。
歴史的に見れば米国が経済難克服に向けドルを放出し、その資金を再び回収する時に新興国を中心に危機が発生したりした。
ここに世界的なサプライチェーン不安とウクライナ情勢など国際紛争危機、国際原材料価格の上昇持続など悪材料が多い。
このように経済不確実性が大きくなり経済環境変化に鋭敏な韓国企業の最高経営責任者(CEO)は今年韓国経済がいばらの道を歩むと予想している。
会計コンサルティング法人EY韓英が最近CEO・役員319人を対象に実施した「2022年経済見通しアンケート調査」によると、今後の経済見通しを「否定的」と答えた割合は昨年の29%から今年は45%に大きく高まった。
「肯定的」という見通しは昨年の42%から今年は32%に低くなった。
◇大統領候補はポピュリズム政策乱発
EY韓英は新型コロナウイルスによる直接的な影響よりは地政学的対立と主要国の成長鈍化と緊縮基調によって対外的不確実性が大きくなった影響と解釈した。新型コロナウイルスが韓国経済に及ぼす悪影響が大きくなるものと予想した回答者は17%にとどまった。
今後だれが大統領になろうが直面するほかない韓国経済の状況はこのように容易ではない。
これに備え合理的かつ長期的な経済政策を提示しなければならないが、大統領候補は近視眼的で人気迎合的な政策ばかり吐き出している。
ポピュリズム競争をやめ、韓国経済に活力を取り戻す方策を見つけることに額を突き合わせなければならないという指摘が出る。
ソウル大学経済学部のキム・インジュン名誉教授は
「どちらか一方がばらまき政策を持ち出せば別の一方はさらにばらまき政策を乱発し、短期的人気政策によって大きな長期的副作用を生む。
危機克服に対する国民的合意なくポピュリズム政策が現実化すれば韓国経済は今後速いスピードで悪化したり、日本の『失われた30年』のような長期沈滞に陥りかねない」と警告した。
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