北朝鮮「ウクライナにはならない」と宣言 核兵器開発を正当化
2022/2/27
産経
北朝鮮は、ロシアがウクライナに侵攻中のタイミングで弾道ミサイル発射に踏み出すことで、米英露との約束で核兵器を手放した「ウクライナの二の舞にはならない」と宣言した形だ。
核兵器の放棄と引き換えに米英などが保証したはずのウクライナの安全は守られず、侵攻の現実を目の当たりにした北朝鮮は、核兵器開発に一層傾倒するとみられている。
「ロシアの合法的な安全上の要求を無視して覇権と軍事的優位だけを追求し、一方的な制裁・圧迫にしがみついてきた米国の強権と専横に根源がある」
北朝鮮は26日夜、国際政治研究学会の研究員名義の記事を外務省のウェブサイトに掲載し、ウクライナ情勢悪化の責任をバイデン米政権にこう転嫁した。
米国主導の北大西洋条約機構(NATO)の拡大で欧州の均衡が崩れ、ロシアの安全が脅かされたことに今回の事態の原因があるとの見方を強調し、ロシアの主張を擁護した。その上で「自らの内政干渉は『正義』と美化し、他国の自衛的措置を『挑発』と決め付ける二重基準を取っている」と米国を批判した。
北朝鮮がこれまで自国のミサイル発射を「自衛的措置だ」と強弁し、米側に交渉の前提として撤回を迫ってきた根拠がこの「二重基準」だ。ウクライナ情勢に絡めてはいるが、ミサイル発射に先立って自国の軍備増強を正当化することに最大の狙いがあるようだ。
韓国の専門家の間では、ロシアのウクライナ侵攻を受けて北朝鮮の非核化はさらに遠のくとの見方が強まっている。
ソ連崩壊で独立したウクライナは1994年、ソ連時代の核兵器を放棄する代わりに米英露が主権と安全保障を約束するブダペスト覚書を取り交わし、2千基近い核弾頭などをロシアに搬出した経緯がある。ロシアの侵攻はこの覚書を踏みにじったことを意味する。
米国との非核化交渉で体制の安全の保証や敵視政策の撤回にこだわってきた北朝鮮が、態度を一層硬化させることは明白だ。
北朝鮮はリビアの最高指導者だったカダフィ大佐が2003年に核放棄に同意し、最終的に殺害される末路をたどったことを教訓に、核兵器開発に邁進(まいしん)してきたとされる。
核兵器も強固な同盟国も持たないウクライナがロシアの侵攻を許した事態を受け、北朝鮮が体制の生き残りを懸けて核・ミサイル開発にさらに拍車を掛ける可能性が高い。
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