プーチン氏、欧米志向の市民は「裏切り者」 国内締め付け強化を示唆

 プーチン氏、欧米志向の市民は「裏切り者」 国内締め付け強化を示唆

毎日新聞 

2022/3/17 


 ウクライナへの侵攻を続けるロシアのプーチン大統領は16日、欧米などの経済制裁への対策会議で、欧米志向の市民をスパイを意味する「第五列」「裏切り者」と呼び、「西側諸国は第五列を使ってロシアを破壊しようとしている」と主張した。

そして「ロシア国民は真の愛国者と裏切り者を見分けることができる」と国内の締め付け強化を示唆した。


 露大統領府によると、プーチン氏は西側諸国が「(ウクライナ侵攻での)軍事的損失や制裁による経済的影響について推測することで我々の社会を分裂させている」と批判。「精神的にあちら(西側諸国)にいる」国民を「裏切り者」と呼び、「社会の自然な浄化作用が国を強化する」と訴えた。露国内では反戦を訴える市民の拘束が相次いでいるが、圧力が一層強まるとの見方が出ている。


 「第五列」は、スペイン内戦(1936~39年)の際に4個部隊を率いたフランコ派の将軍が、それとは別に敵方に送り込んだ部隊を指して言った言葉に由来する。


 一方、ウクライナに対する「特別軍事作戦」については「事前に決定した計画に沿って順調に進んでいる」と改めて強調。ウクライナで生物兵器や核兵器の開発が進んでいたなどとする自説を展開し、「ロシアの自衛と安全保障のために特別軍事作戦を実施する以外の選択肢はなかった」と侵攻を正当化した。


 ウクライナでは露軍の都市への攻撃により民間人を巻き込む被害が拡大しているが、プーチン氏は自軍が「ウクライナの民間人の被害を避けるためにあらゆることをしている」とも主張し、ウクライナ側の攻撃が逆に民間被害を増大させているとの考えも示した。


 欧米などによる経済制裁については、ロシアの経済界が「効果的に対応している」と評価し、「経済的電撃戦は失敗した」と主張。今後、インフレや失業率の増大など影響が広がることは認めたが、「ロシアの経済は必ず新たな現実に適応していく」と自信を見せた。

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