ロシア軍の犠牲が予想以上、キエフ攻略手詰まり…将官の戦死7人目
3/27(日)
読売新聞
ロシア国防省が25日、ウクライナ侵攻作戦の重心を、東部の親露派支配地域の拡大に移す方針を表明したのは、ウクライナ軍の激しい抵抗で自軍の犠牲が予想以上に膨らみ、首都キエフを早々に陥落させる当初のもくろみも外れたためだ。露軍が手詰まり状態を打破するため、生物・化学兵器に手を出す危険性は高まっている。
「東部で成果」国内世論対策か
24日、ウクライナ南東部マリウポリで、街中を戦車で通る親露派武装集団=ロイター
露軍参謀本部の幹部は25日の記者会見で、2月24日にウクライナに全面侵攻したのは、親露派武装集団が実効支配する地域を拡大するためだったと説明した。プーチン政権は侵攻当初、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領の退陣と、ウクライナの「非武装化」実現を強調していたが、軌道修正した。
プーチン大統領も今月18日のクリミア併合8年の式典で、侵攻目的について、親露派地域の「解放」にだけ言及していた。
侵攻目的を表向き下方修正したのは、戦力面でウクライナを圧倒しているはずの露軍が苦戦しているためだ。英紙ザ・タイムズは26日、南部ヘルソン近郊で露軍のヤコフ・レザンツェフ中将が戦死したと伝えた。露軍将官の戦死は7人目で、指揮命令系統に混乱が生じている可能性がある。
ロシア軍がシリアやリビアなどから外国人戦闘員をかき集め、ミサイルや爆撃機を使った攻撃手法を多用しているのは、自国の犠牲者を増やしたくないという事情がある。
露国防省が「東部重視」の方針転換を発表したことについて、米政策研究機関「戦争研究所」は25日、「国内世論対策」だとの見方を示した。ロシア軍は、キエフなど大都市の攻略に手こずる一方、東部では比較的順調に制圧地域を拡大している。東部での軍事作戦の「成果」を国民に示し、他地域での苦戦ぶりから目をそらさせる意図とみられる。
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