プーチン大統領が“偽旗作戦”に着手 イラ立ちMAXで禁断兵器使用の「レッドライン」越え秒読み
3/22(火)
日刊ゲンダイ
暴走が止まらない(ロシアのプーチン大統領)
「とても深刻な一歩となる。米国は軽く受け止めない」──。20日の米CBSテレビに出演したオースティン米国防長官は、ロシアが生物・化学兵器を使用した場合の対応について、そう強調した。ウクライナとの戦争が長期化し、戦局の停滞にいら立つプーチン大統領が大量破壊兵器使用という「レッドライン」(越えてはいけない一線)を越える可能性が増している。
■不気味!核搭載可能の極超音速ミサイル攻撃
ロシア軍は民間人への無差別攻撃などなりふり構わず、攻勢を強めているが、膠着状態が続く。ロシア軍の武器・弾薬も不足気味だ。戦略の見直しが迫られる中、19日と20日、極超音速ミサイル「キンジャル」でウクライナの軍関連施設を攻撃したと発表。実戦で初めての使用だ。
軍事ジャーナリストの世良光弘氏が言う。
「キンジャルは音速の5倍の速さで飛びます。現状のウクライナの防空システムで迎撃するのはほぼ不可能で、大きな脅威となり得ます。また、核弾頭や生物・化学兵器を搭載できるキンジャルを発射することで、大量破壊兵器の使用をにおわす意図もあるのでしょう。この先、戦局打開のため、ロシアが生物・化学兵器を使うことは十分考えられます。ロシア軍は、ウクライナの攻撃にみせかけて生物・化学兵器を使用する“偽旗作戦”を着々と進めています」
戦局打開へカウントダウン
ロシアのミサイル「キンジャル」は音速の5倍(C)ロイター
ウクライナ侵攻後、ロシアは「ウクライナが米国の支援の下、生物・化学兵器を開発している」と繰り返し主張。米国は「偽情報」と反論してきたが、ここへ来て、ロシアは訴えを強めている。
18日の国連安保理で、ロシアのネベンジャ国連大使はウクライナで得たとする「証拠」を15分以上にわたり並べ立て、自説を裏づけるとする69ページ分もの資料を提出。翌19日、プーチン大統領はルクセンブルクのベッテル首相との電話会談で、「ウクライナが生物・化学兵器を使用する疑いがあり、容認できない」と改めてクギを刺した。
同日、ロシア軍を指揮する国家防衛管理センター長、ミジンツェフ上級大将は「ウクライナ軍は、東部スムイ州の化学工場のアンモニアと塩素の貯蔵庫に爆薬を仕掛け、南部ミコライフ州の学校にも有毒化学物質が入った容器が運び込まれた。ロシア軍が進入した際に爆発させ、ロシア軍の仕業にしようとしている」と主張。まるで目撃したかのように場所や薬品名まで具体的に示したのだ。
「ウクライナが仕掛けているとするロシアの主張は嘘でしょう。場所などを具体的に示すことで、生物・化学兵器が爆発した際の『言い訳』ができる環境を整える狙いがうかがえます。ロシアが大量破壊兵器を使用する方向へ一歩進んだと言えます」(世良光弘氏)
2011年から始まったシリア内戦でアサド政権はサリンなどの化学兵器を使用。ロシアが化学兵器を送ったとの情報もある。
大量破壊兵器が使われる前に何とか停戦に持ち込めないものか。
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