人権団体が非難する「フレシェット弾」でウクライナの民間人が犠牲に

 ロシア軍がまた残虐行為!?

人権団体が非難する「フレシェット弾」でウクライナの民間人が犠牲に

2022年4月29日、

クリエージャポン


ウクライナのブチャでロシアの攻撃で殺害された民間人を埋葬するための墓穴を掘る作業員


ウクライナへの侵攻を続けるロシア軍が無差別殺傷兵器のクラスター弾を使用した疑いがあると報じられている。


しかし、非人道的な武器の使用はこれだけではないらしい。ウクライナの首都キーウ近郊のブチャでは「フレシェット弾」という武器で民間人が犠牲になっていると英紙「ガーディアン」が伝えている。

「ロシアは戦争のルールを無視」


フレシェット弾とは、第一次世界大戦中に広く使われた対人武器。通常長さ3〜4センチで、戦車や野砲の砲弾1発当たり最大8000本が充填される。砲弾が炸裂し放出されると、幅約300メートル、長さ約100メートルの円錐形のアーチを描いて散り散りになり、人体に命中すると本体はフック状に曲がり、矢の後部の4つのフィンが折れて二次的なダメージを負わせることもある、と同紙は説明している。


同紙はロシア軍の占領中にブチャで死亡した民間人の遺体から、小さな金属の矢が発見されたと報道。遺体を検死しているウクライナの法医学者は「男性や女性の遺体から本当に細い釘のようなものを複数見つけました。この地域の他の同僚も同じものを見つけました」と同紙にコメントしている。


遺体から見つかった金属の矢の写真を確認した武器の専門家は、「フレシェット弾」と特定したという。



国際人権団体「アムネスティ・インターナショナル」は、「フレシェットは密林の中を貫通し、多数の敵兵を攻撃するために設計された対人兵器。建物が密集する民間人の居住地域では決して使われるべきではない」としている。


フレシェット弾は人権団体が長年禁止を求めているが、国際法では禁止されていない。しかし、民間人が密集する区域で正確に標的が狙えない殺傷兵器の使用は人道法違反である、と同紙は記している。


ブチャ市のアナトリー・ペドルク市長は「ロシアがブチャで戦争のルールを無視したことは、兵器の専門家でなくても理解できる」と述べている。


現代戦での利用は稀で、使用禁止を免れた


米紙「ワシントン・ポスト」も、ブチャの民間人が居住する地域でフレシェット弾が発射されたと報道。先月末にロシア軍が撤退する数日前に砲弾が炸裂し、中庭や車に複数の矢が刺さったと言う住民の声を伝えている。また、同紙の記者自身も街中に着弾したフレシェット弾を確認しているという。


ウクライナ陸軍当局は、同国軍はフレシェット弾が入った砲弾を使用していないとコメントしている。


同紙によると、フレシェット弾には長い歴史があり、第一次世界大戦では飛行機から投下され、ベトナム戦争でもアメリカが使用した。1970年代に国際機関の間で広く関心が集まったものの、クラスター弾や焼夷(しょうい)弾に焦点が当たったベトナム戦争以降の紛争で大量に使用されなかったため、ほぼ使用禁止されることはなかった。


フレシェット弾は、広い範囲に展開している部隊を攻撃する際など特定の状況下でしか役に立たず、一般に有用性は低い、と軍事専門家は同紙に話している。


近年の例では、イスラエルがパレスチナ自治区ガザ地区で使用。2008年には「ロイター通信」のカメラマンと民間人8人が殺された。その2年後、イスラエル軍当局者は段階的にアメリカ製のフレシェット弾を使った砲弾を段階的に廃止し、より精密な国産の弾薬に切り替えると発表した、と同社は伝えている。


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