岸田首相、中国に軍事演習の即時停止を要求…ペロシ下院議長と日米連携を確認

 岸田首相、中国に軍事演習の即時停止を要求…ペロシ下院議長と日米連携を確認

8/5(金)

 配信 読売



 岸田首相は5日午前、来日中のナンシー・ペロシ米下院議長と首相公邸で朝食をとりながら会談した。両氏は、台湾海峡の平和と安定を維持するため、日米で引き続き緊密に連携していくことを確認した。首相は、中国による大規模軍事演習を強く非難した。

 首相官邸によると、会談は53分間行われ、木原誠二官房副長官や寺田稔、中谷元両首相補佐官らが同席した。首相は、首相官邸で記者団に会談内容を明らかにした。


 首相は会談で、ペロシ氏の台湾訪問に反発した中国による「重要軍事演習」を取り上げた。弾道ミサイルが日本の排他的経済水域(EEZ)を含む近海に落下したことについて、「我が国の安全保障や国民の安全に関わる重大な問題だ。中国に対し、強く非難し抗議した」とペロシ氏に伝えた。その上で、「今般の中国側の行動は、地域や国際社会の平和と安定に深刻な影響を与える」と述べ、演習の即刻中止を求めたことを説明した。


 また、首相は、日米同盟の強化や「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け、「ペロシ氏のリーダーシップと米国議会の支援を期待している」との考えを示した。核・ミサイル開発を進める北朝鮮や、ロシアによるウクライナ侵略についても協議した。首相の目指す「核兵器のない世界」への取り組みについても意見交換した。銃撃事件で死亡した安倍晋三・元首相に対するペロシ氏らの弔意への謝意も伝えた。


 ペロシ氏の台湾訪問を巡っては、日本政府は「コメントする立場にない」(松野官房長官)と直接の評価を避けている。首相も記者団に対し、台湾訪問そのものには言及しなかった。


 ペロシ氏は会談後、東京都内の在日米国大使館で記者会見し、中国による弾道ミサイル発射を受け、「中国は台湾を孤立させようとしている。私たちと台湾との友情は強固なものだ」と述べた。


 ペロシ氏の来日は2015年5月以来、7年ぶり。ペロシ氏は議員団でアジアを歴訪しており、8月4日夜に来日した。5日午後には衆院本会議を傍聴し、細田衆院議長らと面会する。


 松野官房長官は5日午前の記者会見で、「米中両国の関係の安定は国際社会にとって極めて重要だ。米国との強固な信頼関係の下、中国に大国としての責任を果たすよう働きかけていきたい」と述べた。

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